みなさん、こんにちは。すばるです!
本日は約2週間振りに書評記事の方を書いていきます。
本日紹介するのは、当ブログで何度も登場いただいている伊坂幸太郎さんの作品、『グラスホッパー』です。
こちらの作品も2015年に映画化されており、伊坂さんの作品では初のジャニーズ出演映画となりました。
僕は、こちらの映画についてはまだ見れていないので、どこかでレンタルして見たいものです。
個人的評価
・読みやすさ:☆☆☆☆☆
・興味深さ:☆☆☆☆☆
・オリジナル性:☆☆☆☆☆
・再読したい:☆☆☆☆☆
・知識:☆☆☆☆☆
総合評価:A⁻
※あくまで個人的評価です。
総合評価についてはS~Dまでで評価しています。
内容
「復讐を横取りされた。嘘?」元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。鈴木は正体を探るため、彼の後を追う。
一方、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉も「押し屋」を追い始める。それぞれの思惑のもとに—「鈴木」「鯨」「蝉」、三人の思いが交錯するとき、物語は唸りを上げて動き出す。疾走感溢れる筆致で綴られた、分類不能の「殺し屋」小説!(裏表紙)
妻を亡くした元教師・鈴木、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉、この3人が「押し屋」と呼ばれる人物を追い、交錯していく。
そして、動き出す物語。
軽妙かつ冷静に描かれてゆく人間の悪意、そして危うさ。
ページを繰る手が止まらない、
第1級のエンタテイメント!
思いもよらぬ伏線が張り巡らされ、決して油断できない。予想は軽々と裏切られていく。何を信じればいいのか?現実とは何なのか?
この小説を読み終えたとき、あなたは冷静でいられるだろうか—。
感想
読み終えてまず持った感想は、「あっという間の一冊だったな」というものでした。
伊坂さんの作品にしては比較的短めの作品で、ストーリー展開のテンポも良かったので、このような感想を持ったのだと思います。
本作品は鈴木、鯨、蝉の3人の視点から物語が進んでいきますが、彼らが交錯してくるあたりから一気に物語がおもしろくなり、気付けば読み終えていたという感じでした。
個人的には、蝉と岩西(蝉のビジネスパートナー)のやり取りもめちゃくちゃ好きでした。
岩西はジャック・クリスピン(小説中の架空のミュージシャン)曰くというセリフを多用しますが、これが本当に面白い。
人から依頼を受けて、交渉をして、で、調査をしてだ。大事なのは準備なんだよ。トンネルを抜け出す前こそ気をつけろ、だ
この後、蝉の「ジャック・クリスピン曰く」というセリフに、岩西が「よく分かるな」と続きますが、本当、岩西は言葉の使い方が上手いですよね。
多分、屁理屈言わせたら彼の右に出るものはいないのでは?と思いますね。
伊坂さんの作品には、だいたい岩西のようなキャラが登場しますが、どれも甲乙つけ難いくらい好きです(笑)
ストーリー展開やキャラの面白さはもちろん、本作品でも伊坂幸太郎さんの代名詞、伏線回収は顕在でした。
カバーに書かれていた「思いもよらぬ伏線が張り巡らされ」の通り、これも伏線なの?といったものが作品中に散りばめられています。
とりわけ、本作品を読む際は、登場人物1人1人に目を向けるとともに、彼らのセリフに注意を向けることが必要です。
※本記事の最後に、本作品の最大の伏線(?)に対する僕なりの考察を載せています。
(ネタバレありなので、ご注意下さい)
「殺し屋」小説という何とも斬新なタイプの小説ですが、読み終えた後には伊坂さんの魅力に魅かれること間違いなしです!
ぜひ、一緒に伊坂ワールドを体感しましょう!
最後に、本書をオススメしたい人を紹介して終わろうと思います。
〇本書をオススメしたい人
・伊坂幸太郎さん好きの方
・伏線回収を楽しみたい方
・ドキドキハラハラを楽しみたい方
・「殺し屋」小説に興味ありの方
このような人はぜひ本書を手に取って読んでみてください。
⇓伊坂幸太郎さんのオススメランキング

伏線考察(ネタバレあり)
これからする伏線考察は、あくまで僕独自の考察となっており、この考察が正しいかどうかは明記されていません。
(一応、ネットで検索してみたところ、同じような考察をしておられる方はいました)
さて、まずはその伏線ですが、ホームレスの田中さん(鯨と関りがあった人物)のこの言葉です。
「兆候はあるんですよ。幻覚のしるしは。例えば、街で立っている時に、目の前の信号がちっとも止まらなかったり、歩いても歩いても階段が終わらなかったり。駅にいるときも、通過する列車がいつまで経っても通り過ぎない、とか、この列車ずいぶん長いなあ、なんて思ったら、まずい兆候ですよ。そういうのは幻覚の証拠です。信号や列車は、幻覚のきっかけになりやすいんです。信号はたいがい見始めの契機で、列車は目覚めの合図だったりします。
最初、この言葉を見たときは、幻覚を見る鯨へのただの言葉だと思っていました。
しかし、本作品の締めくくりで、鈴木が「それにしてもこの列車、長くないか」と亡き妻に言っている場面から、
「え?え?」ってなりました(笑)
そして、ページを巻き戻してみると、「この信号いつまで点滅しているんだよ」という描写もあります。
これらを踏まえた上での僕の考察が、
「寺原長男が押し屋に殺されてからラストまでは全て鈴木の幻覚だった説」です。
実際、寺原の会社:フロントラインはやばい薬を作ってそうな雰囲気があり、鈴木のことを最初から疑っていた部分もありました。
つまり、もしかしたら僕らは鈴木の見ていた幻覚に踊らされていただけなのかもしれません。
僕はこの結論に至ったとき、冷静でいられなくなりましたね(笑)
あくまで一個人の考察ですが、こういった見方もあるのかと思ってももらえたら嬉しいです!
みなさんの考察もぜひお聞かせ願いたいです。