伊坂幸太郎さんの作品『サブマリン』を読み終えたので、書評の方をしていきたいと思います。
「チルドレン」の続編となり、伊坂作品の大人気キャラ陣内も登場する本作品。
伊坂幸太郎の魅力が詰まりに詰まった一冊になっています。
⇓「チルドレン」の書評記事はこちらから

個人的評価
・読みやすさ:☆☆☆☆☆
・興味深さ:☆☆☆☆☆
・オリジナル性:☆☆☆☆☆
・再読したい:☆☆☆☆☆
・知識:☆☆☆☆☆
総合評価:A
※あくまで個人的評価です。
総合評価についてはS~Dまでで評価しています
内容
家庭裁判所調査官の武藤は貧乏くじを引くタイプ。無免許運転事故を起こした19歳は、近親者が昔、死亡事故に遭っていたと判明。また15歳のパソコン少年は「ネットの犯行予告の真偽を見破れる」と言い出す。だが一番の問題は傍迷惑な上司・陣内の存在だった!読み終えた瞬間、今よりも世界が輝いてみえる大切な物語。
家庭裁判所調査官の武藤・陣内と二人の加害者少年、棚岡佑真と小山田俊を軸に進む物語。
物語の進行とともに10年前の事件が浮き彫りになったり、前作の主要キャラが登場したりと、予想もしない方向に…
偶然なのか、運命か?
暗い深海からの声を見つけたい。
家庭調査官は今日も加害少年たちのもとへ。
伊坂ワールドでは、
どんなに孤独な魂にも光がそそぐ!
感想
本作品の特徴は
- 伊坂作品の人気キャラ陣内の登場
- 哲学的な要素を楽しませてくれるところ
この2点だと感じました。
独自の世界観を持ち、自由奔放に周りを巻き込んでいくが、どこか憎めない男陣内。
彼が見せてくれる世界観はもうそれだけで読者を引き付けていき、「小説っていいな~」、「伊坂作品っていいな~」というのを改めて認識させてくれます。
前作「チルドレン」に引き続き、本作でも陣内節が炸裂していますので、いくつかご紹介します!
人の命は別の命じゃ埋まらねえぞ
当たり前のことでありながら、確信を突く一言のように感じます。
- 倫理
- 命の重さ
- 生きるということ
など、実に様々なものを考えさせられました。
全力で何かやれよ。
全力投球を馬鹿にしてくる奴がいたら、そいつが逃げてるだけだ。
全力で物事に取り組む=どこか恥ずかしい。
こんな風に考えてしまうことは誰しもあるでしょうが、陣内の言葉はそんな私たちの背中を強く押してくれます。
どうです?陣内節、最高ですよね!
その他の陣内節についてはぜひ自分の目で確かめてみて下さい。
【関連記事】伊坂幸太郎作品の名言10選
そして、陣内の世界線と並行して、本作品では倫理・哲学的な要素についても深く考えさせられました。
- 事故は許されるのか?
- 悪い人を殺すのは悪いことなのか?
- 一度罪を犯した人間はもう普通通りに戻れないのか?
加害者少年たちと陣内らのやり取りを通じて、度々考えさせられるこれらのこと。
中でも、「人を殺そうとして未遂に終わるのと、全くそのつもりがなくて不慮の事故で殺してしまう。どちらが悪いのか?」というのはかなり考えました。
最終的に結論を上手く出すことはできませんでしたが、考えれば考えるほどより「深い」感覚を味わうことができ、一味違った小説の楽しみができました。
様々な角度から楽しむことができ、独特の言葉選びや伏線回収といった伊坂幸太郎の魅力が詰まった本作品。
伊坂作品初心者の方も含め、多くの方に読んでもらいたい一冊です!
〇クチコミ紹介
最後に、本書をオススメしたい人を紹介して終わろうと思います。
〇本書をオススメしたい人
- 伊坂幸太郎好きの方
- 陣内さんの世界観に触れたい方
- 哲学や倫理といったものについて深く考えてみたい方
このような人はぜひ本書を手に取って読んでみてください。