将棋のプロ棋士、先崎学九段著書の『うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間』を読み終えたので、書評の方をしていきたいと思います。
将棋のプロ棋士が描くリアルなうつ病の体験談やプロの舞台に返り咲こうと奮闘する様子からは数多くのことを学ぶことができました。
〇先崎学九段プロフィール
・「羽生世代」の棋士の一人
・一般棋戦優勝回数2回
・漫画『3月のライオン』監修
個人的評価
・読みやすさ:☆☆☆☆☆
・興味深さ:☆☆☆☆☆
・オリジナル性:☆☆☆☆☆
・再読したい:☆☆☆☆☆
・知識:☆☆☆☆☆
総合評価:S
※あくまで個人的評価です。
総合評価についてはS~Dまでで評価しています
内容
うつ病の頭には死のイメージが駆け巡るのだ。
うつ病の朝の辛さは筆舌に尽くしがたい。
あなたが考えている最高にどんよりした気分の十倍だと思っていいだろう。
まず、ベッドから置きあがるのに最低でも十分はかかる。
ひどい時には三十分。その間、体全体が重く、だるく、頭の中は真っ暗である。
仕方がないのでソファーに横になるが、もう眠ることはできない。
ただじっと横になっているだけである。
頭の中には、人間が考える最も暗いこと、そう、死のイメージが駆け巡る。
私の場合、高い所から飛び降りるとか、
電車に飛び込むなどのイメージがよく浮かんだ。
つまるところ、うつ病とは死にたがる病気であるという。
まさにその通りであった。
『ふざけんな、ふざけんな、
みんないい思いしやがって』
空前の藤井フィーバーに沸く将棋界、
突然の休場を余儀なくされた羽生世代の棋士。
うつ病回復末期の”患者”が
リハビリを兼ねて綴った世にも珍しい手記。
藤井聡太さんの影響もあり、今や将棋という言葉は世の中に広く浸透しているように感じます。
私自身、元々将棋は趣味で時折指していましたが、藤井フィーバー以降はいっそう熱が入り今や対局や本にも頻繁に聡太通すようになりました。
さて、世間が藤井フィーバーに沸き始めた頃、「羽生世代」の一人である名棋士、先崎学九段はうつ病と戦っていました。
本書は先崎さんの自身のうつ病の発症から回復までをありのままに綴った手記になっています。
感想
読んでみて一番に感じた感想は、『すごくリアルなうつ病日記だなぁ』というものです。
本書のような本物のうつ病のことをきちんと書いた本というのは実に少ないとのことですが、まさしくその通りだなと思いました。
先崎さんご本人はエピソードが少なくて困ったと書いておられますが、自分にはそれが非常にリアルに感じられました。
落ちゲー、散歩、寝る、将棋…、同じような毎日の繰り返しとたまに出てくる棋士仲間とのやり取り。
そんなリアルな日々の中で時に症状が良くなったり、時に症状が悪化したりというのが先崎さんの感情とともに描かれていました。
とりわけ、うつの発症直後にはまるでダメだった将棋が、少しずつさせるようになっていく様子には感動が止まりませんでした。
※アマ初段に苦戦、詰め将棋が解けない、そしてそのときの先崎さんの心境からは、うつ病というものの辛さがひしひしと伝わってきました。
また、本書からうつ病は「心の病気」ではなく「脳の病気」であるということを学びました。
本書を読むまでの自分を含め、世間一般のうつ病の見方としては、「心に大きな負荷がかかった際に発症する心の病気」というものだと思います。
もちろんこれが完全に間違った解釈だとは思いませんが、ここから「うつ病は心が弱い人が発症する病気」、「精神論でどうにかできる病気」などといった偏見を受けてしまうのも事実です。
しかしながら、そうではなく『うつ病はれっきとした病気であり、きちんと治療すれば治るものである』というのはもっと多くの人に理解してもらいたいことだと思いました。
先崎さんのうつ病との戦いに感動しつつ、うつへの理解を深めることができた素晴らしい一冊でした。
ぜひとも多くの方に読んでもらいたい作品です!
〇クチコミ紹介
最後に、本書をオススメしたい人を紹介して終わろうと思います。
〇本書をオススメしたい人
- 将棋好きの方
- うつに苦しむ方
- 仕事で忙しく余裕のない方
- うつに対する理解を深めたい方
このような人はぜひ本書を手に取って読んでみてください。