突然ですがみなさんは、長丁場の仕事や作業に疲れを感じると、ついつい甘いものに手を出してしまいませんか?
「疲れたときには甘いもの」という言葉はよく耳にしますが、果たしてこれは効果的であると言えるか否か。
今日は、この部分について詳しく解説していきたいと思います。
結論から言えば、疲れたときに甘いものはNGです。
ウォーリック大学の研究
ウォーリック大学が行った研究に、シュガーラッシュ現象について調べたメタ分析があります。
※シュガーラッシュ現象というのは、甘いものを食べることで、疲労が回復したり集中力が上がったりすると考え、仕事や勉強の合間などに甘いものを食べて、気分が良くなる現象のことです。
このメタ分析は、31件の研究をもとに1000人を超えるサンプルの中で、糖分摂取後に
- 疲れが取れるのか?
- 集中力が上がるのか?
- ストレスが解消されるのか?
- ネガティブな気分はなくなるのか?
などを調べたものです。
その結果はどうだったのか?
ずばり、摂取する糖分の量に関わらず、気分の改善等の効果はほとんど見られないという結果でした。
それどころか糖分を摂ることで、逆効果になってしまうことも分かっています。
なんと対象者のほとんどは、糖分を摂ってから約30分後に疲労感の上昇が、約1時間後に集中力の低下が見られたのです。
みなさんも、甘いものを食べた後に眠くなったりした経験はありませんか?
これは、上記の効果が現れてしまっているからなのです。
以上をまとめると、ウォーリック大学の研究からは、
『疲れているときに甘い食べ物や飲み物を摂ることは、効果的とは言えず、むしろ私たちの生産性の低下に繋がる』
といったことが言えそうです。
研究チームの方も、「シュガーラッシュ現象は神話」、「砂糖はメンタルを落ち込ませる原因の1つ」とのコメントを残されております。
甘いものを食べたときの幸せは一瞬!?
さて、ここでは甘いものを食べたときに、私たちの身体の中で何が起きているのかについて解説していきます。
私たちが甘いものを口にすると、血糖値が一気に上昇し、それを下げるためのホルモンが放出されていきます。
これらのホルモンの中には、アミノ酸の一種であるトリプトファンを運んでくれるものも数多く存在し、甘いものを食べることで血液中のトリプトファンの比率が上昇します。
そして、このトリプトファンというのが、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの材料となるため、私たちは幸せと感じるのです。
問題なのは、この幸福感が非常に一時的なもの、一瞬のものであるということです。
というのも、一度私たちが糖分を欲しだすと、脳内の糖分要求が止まらなくなり、自律神経の乱れなどに繋がっていきます。
みなさんも、お菓子を少しだけと思って食べ始めたら止まらなくなった。
このような経験、きっとありますよね?
当然、自律神経が乱れれば、疲れを感じやすくなったり、集中力が低下したりといった悪影響が身体に現れていきます。
つまり、疲れたときに甘いものは、瞬間的に幸福を感じることはあっても、長期的には幸福が持続しないと言えます。
とりわけ、自律神経が乱れやすい人は、疲れたときに甘いものに頼り過ぎないように気を付けましょう!
セロトニンに関しては、
- 朝日を浴びることを習慣化
- 適度な運動を行っていく。
- 咀嚼運動を意識的に行う。(ガムを噛むなど)
- トリプトファンが多く含まれる食品(大豆製品、乳製品、バナナなど)を積極的に摂る。
これらでも分泌が促進されていくので、普段からこれらを意識するようにしてあげましょう。
それでも甘い物が食べたくなったら?
とは言え、やっぱり疲れたときには甘いものが食べたい!
このような方もいると思います。
そもそも、疲れたときに私たちが甘いものを欲するのは、
- 三大栄養素(タンパク質、炭水化物、脂質)のいずれかが不足。
- セロトニンの分泌を促そうとしている。
このどちらかである場合がほとんどです。
そのため、栄養バランスの良い食事を3食摂る、上記で紹介したセロトニンの分泌を促進する方法を行う、で対策・対処するのが理想です。
しかしながら、緊急時にこれらを行うのは難しく、やはり手軽に甘いものを食べたいと考えることもあるでしょう。
そんなときは、予め食べる分だけの甘いものを手元に置くようにしましょう。
例えば、チョコであれば、箱ごと近くに置いておくのではなく、小包のものを1つだけデスクに入れておくといった感じです。
これは上でも書いたように、私たちが一度糖分を欲しだすと、糖分欲求が止まらなくなるので、それを強制的にシャットダウンすることが目的です。
最低限の甘いものであれば、急激な血糖値上昇もある程度は防げ、自律神経の乱れ等のリスクも軽減できます。
瞬間的な幸福をエネルギーにして頑張り、頑張った後は脳と体をしっかり休めて上げましょう!
※甘いものを身体が欲するのは、疲労やストレス等のSOSサインであることが多いです。見逃さないようにしていきましょう。
最後に
「疲れたときに甘いもの」
これは効果なし、むしろ逆効果となるケースが多いです。
瞬間的な幸せを感じることはできても、それが持続することはなく、長期的に見ると身体を不調の方向に導いてしまいがちです。
どうしても糖分が欲しいときは、最低限の量でシャットダウンできる状態を作ってから食べるようにしてあげましょう。
糖分を身体が欲するときは、身体からのSOSサイン。
睡眠や休息の時間を十分に設けるとともに、食事バランスの見直しを!